コラム 夫婦の姓と事実婚
夫婦の姓(名字)については、夫婦のどちらかの姓にしなければならないが(民法第750条)、ほとんどの夫婦は夫の姓を名乗っている(2000年で97.0%)。しかし、内閣府「選択的夫婦別氏制度に関する世論調査」(2001年)によれば、仕事をしていた人が婚姻によって姓を変えることで不便を生じることがあると思うかどうか聞いたところ、41.9%の人が「不便を生じることがあると思う」と回答しており、その割合は年齢層が低いほど高く、また、男性より女性の方が高くなっている。姓が変わったことで、新たな人生が始まると考えたり、相手と一体となった喜びを感じる人がいる一方、違和感を持ったり、今までの自分が失われてしまったという喪失感を持つ人もいる。
同居生活を伴って特定の異性との継続的な関係が維持されているが、婚姻届を出していない場合、最近では、同棲や内縁ではなく、法律婚に対する言葉として「事実婚」と呼ばれている。姓を変更したくないカップルは事実婚になると考えられるが、このような「姓を変えたくない夫婦」がいると考える人が57.0%と6割近くにのぼっている。また、同じ姓を名乗っていない夫婦であっても正式な夫婦と変わらないと思う人は7割近くとなっている。いずれも、年齢層が若いほど高い傾向がみられる。しかし、事実婚が継続されている状態で子どもが生まれた場合には、その子どもは嫡出ではない子となるといった問題があるとの指摘がされており、姓を変えたくないという理由で事実婚を選ぶことにより不利益が生じる場合があるようだ。
最近、夫婦の姓を別姓にするか同姓にするか選択できる制度を導入するかどうか検討されている。この制度について、法律を改めてもかまわないと考える人は42.1%(2001年)となっており、96年の32.5%より9.6%ポイント上昇し、法律を改める必要はないと考える人(29.9%)を上回っている(図)。特に、20・30代は男女とも法律を改めてもかまわないと考える人は過半数を超えており、若い人の姓に対する考え方は変化してきているといえよう。
図 希望すれば夫婦がそれぞれの姓を名乗ってもよいと考える人が増加